美人が招く不幸

人より優れた容姿に生れついたゆえに、不幸をたぐりよせてしまう人達。あなたの身の回りにもいませんか?いじめられた体験談を投稿する女性に美女が多いのはよく知られた話。

母親からも同性としてライバル視され、男性に性的いやがらせを受けたことを報告したのに「どうせ、お前がそのいやらしい顔でさそったんでしょう」と相手にされなかった、なんて悲しい話も聞いたことがあります。

なんとなく美女は得しているように感じますが、その代償としてごく普通の容姿に生れたら経験せずにすむ言葉や、遠慮ない視線の暴力を常に受けているのですね。人の気を引いてしまう容姿をもっているからには、寄ってくる人間を上手にさばく技量も必然的に求められますが、すべての親がそんなことを教えてくれるはずがありません。

2012年に劇場公開された「レ・ミゼラブル」でも、不幸な美女が登場します。アン・ハサウェイ演じるファンテーヌは悪い男に甘い言葉で誘惑され、子供を産み、そして捨てられてしまいます。務め先では美貌ゆえにセクハラにあい、毅然と立ち向かおうとするも同性からの嫉妬もあって逆に職場のやっかい者とされ解雇されてしまいます。

ここまでは、ハーレクインのヒロインにはよくあることです。ファンテーヌはとうとう子供を育て上げるために娼婦にまで落ちるのですが、そこで涙ながらに歌う「夢、破れて」という曲は、涙無しには聞けません。

“素敵な男性と恋に落ちるのを幼いころから夢見てた、さっそうと現れた彼の甘い言葉を聞いて幸せいっぱいだった。私の人生、こんなはずじゃなかった”これは、どんな女性でも共感せずにはいられない心境でしょう。

だけど同時に、フォンテーヌの不幸を妬みゆえに「いい気味だ」と思ってしまう自分がいることも確かなのです。ハーレクインには、歪んだ心をもつ美女がライバルとしてたくさん登場します。ときには、そんな愛を知らない美女が主人公です。

過度な人の視線に晒され続けて、疲れていることにさえ、気付いていない美女たち。胸の中が空っぽなまま着飾る女たちは、愛に飢えて虚勢を張る、ハーレクインのヒーロー達の写し鏡です。

美しさゆえに、覚悟しなければならないこと。美しくあるために、人を赦すこと。人と自分の違いを受け入れ、比べないこと。「可愛そうな美女」からの脱却が、ハーレクインの根底に流れているテーマの一つなのですね。

ハーレクイン作品を便利でお得に読めるサービス

このページの先頭へ