ハーレクインコミックの魅力
急いで読んでも読破するのに2時間ほどかかってしまう小説と違い、コミック版は20分もあれば読み終えられます。また、かっこいい男性が彼女を見てときめく様子や、焼きもちをやいた時の顔、真顔になって彼女をかき口説くその熱視線などコミックではより伝わってきます。
シークの礼装、ヒロインのレンガ(ドレス)のような民族衣装や伝統的な建物など、知識不足から小説ではいまいちイメージがわかない部分も、作家さん達が丁寧に描かれたアラブ世界や社交場と衣装の画のおかげですんなりと作品の世界を理解でき、きらびやかな美しさに浸ることができます。
庶民には縁遠いお金持ちの世界をどう描くか、コミック版の作家さんたちは毎回小物ひとつにもとっても苦労されるそうです。建物、挨拶のしぐさ、すべてが日本とは違いますし、資料の写真や映画を見ては、前のシーンを描き直したりして……文章から漫画のプロットを作りだすだけでも大変で、それが外国の物語であるために労力は何倍にもふくれあがり、思考錯誤を重ねてひとコマずつ描き上げられるのです。
ただし、コミック版は大人の事情やページの制約から小説版(原作を翻訳したもの)と、話が異なる部分があります。たとえば、ある話では二人の出会った場所が変えられていましたし、別の話では、二人が最初に愛し合うシーンそのものがカットされていました。
また、主要な登場人物が登場しなかったり、逆に、新たな登場人物が付け加えられている作品もあります。コミック版は必ずしも原作に忠実ではないのです。
なので、コミック版を読んでストーリー気にいった作品があれば、小説版も手に入れるのをおススメします。コミック版ではやむを得ずカットされた、様々なシーンやセリフがそこには書かれているからです。
逆に、画の良さから選んだ作品は、同じ原作者の別のコミックに手をのばすのが良いかと思います。同じ原作者の書いた作品も、画が変われば別の魅力が見えてきます。
更に、漫画家さんつながりでコミック版を読みあさっていくと、小説版ではピンとこなかった作品も、新しい発見をし感動を覚えたりします。コミック版の良さは、手軽さだけではありません。「小説版とは違う」それもまた、コミック版の大きな魅力なのです。